製薬業界等の脱炭素化への貢献に向けて、新たなリサイクルスキームを構築

2022年9月、大同樹脂株式会社と技術提携し、医薬品の錠剤の包装等に用いられるPTP(Press Through Pack)シートのマテリアルリサイクル※1スキームへの取り組みを開始しました。PTPシートは「ポリ塩化ビニル(PVC)」や「ポリプロピレン(PP)」といった「プラスチックフィルム」と「アルミ箔」からなる医薬品の錠剤やカプセル剤の包装形態の1つであり、その利便性や不可逆性から広く普及しています。医薬品メーカーの製造現場では薬機法※2をはじめとする厳しい規格を遵守する為にPTPシートの工程端材が多量に発生していましたが、プラスチックとアルミの複合材料であるが故にマテリアルリサイクルが困難とされてきました。そこで大同樹脂株式会社様(以下「大同樹脂様」)が保有している高度な分離技術と、当社が展開する廃棄物の収集運搬・処分事業、貴金属リサイクル事業で培った多種多様な「プラスチック/金属複合材」へのノウハウ、これら双方の知見を融合させることで廃PTPシートマテリアルリサイクルスキームを構築しました。
大同樹脂様と技術提携を行い、PTP分離選別に特化したリサイクル設備を当社関第二工場(岐阜県関市)に導入し、産業廃棄物処分業許可を取得しました。焼却処理を伴わないリサイクルスキームである為、製薬業界におけるカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に寄与できるものと考えます。
選別後のプラスチックは建材向け、アルミは二次合金向けの再生原料として国内資源循環が可能となり、理想的なリサイクルスキームを構築することができました。再生原料の受け入れ先をあらかじめ確保しており、回収から再利用までのスキームを確立している事が当事業の強みになっています。排出元である医薬品メーカーなどからは目に見える形で自社や地域、医療業界で使用できるものにリサイクルしたいというご要望も頂いており、業界ニーズを踏まえて再利用方法を更に拡充していく予定です。また本設備を用いて、大同樹脂様の分離技術と当社が培ってきた様々な金属スクラップ原料のノウハウを融合させることにより、メーカーから排出されるPETフィルムなどのその他複合材についても新たなリサイクルスキームの構築を検討します。プラスチック、アルミ、その他複合素材の国内資源循環の実現に向け、マテリアルリサイクルスキーム構築の取り組みを加速してまいります。
※1 廃棄物を新たな製品の原料として再利用するリサイクル方法
※2 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

分離後物のアルミ
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分離後物の樹脂
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