代表取締役社長 松田芳明

2023年3月期の業績と今後の施策について

 2023年3月期における世界経済は、インフレの加速に伴い金融政策が引き締めに方向転換する等の懸念要素がある中で、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され正常化に向かい、全体的には緩やかな持ち直しの傾向が見られました。我が国経済においても、原材料価格の上昇、生活必需品の高騰等もあり、一部に弱さは見られたものの、緩やかな持ち直しが見られました。しかしながら、世界的な金融引き締めが続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク等もあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

貴金属関連事業においては、貴金属リサイクルへの多様化するニーズに対し、資源リサイクルの総合力及び高機能電子材料の開発等により差別化し、貴金属原料の確保、化成品等の製商品販売及び産業廃棄物処理受託の拡大に取り組みました。また、食品関連事業においては、世界的な食資源の供給不安や仕入価格の上昇等にも調達力の強みを活かして柔軟に対処し、顧客ニーズに応えた商品の開拓と安全安心な商品の安定提供により、販売量の拡大に取り組みました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は351,028百万円(前連結会計年度比28.9%増)、営業利益は13,818百万円(前連結会計年度比9.0%増)となりました。持分法利益等の営業外損益を加えた経常利益は13,843百万円(前連結会計年度比0.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,696百万円(前連結会計年度比1.4%増)となりました。

 

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は各種政策の効果もあり経済活動の回復が期待される一方、ウクライナ情勢や世界的な金融引き締めが続く中で、資源価格の高騰、インフレ圧力による経済への影響懸念等もあることから、依然として先行き不透明な状況が続くものと思われます。

貴金属関連事業においては、需要の減少に伴う半導体・電子デバイス分野の生産低下により同分野からの貴金属リサイクルの取扱量は減少するものと予想されますが、資源リサイクルの総合力を強みに循環型社会のニーズに適応し続け、宝飾業界等、他分野への展開を拡大し、貴金属リサイクルの取扱量、製商品販売数量の増加及び産業廃棄物処理受託の確保拡大を図ります。

食品関連事業においては、食資源の供給懸念や物流コスト上昇等にも対処しながら、海外拠点の活用を含めてさらに調達力を強化し、顧客ニーズを的確に捉えた営業活動を行い、安全・安心・安定供給を根本に据えた商品の開拓と提供等による差別化で販売数量を拡大し、収益の確保を図ります。

利益配分の方針と配当金について

会社の利益配分につきましては、成長投資のための内部留保とのバランスを考慮しつつ、株主への安定的な利益還元を持続的に行うことによって、株主の期待に応えることを基本方針としております。

2023年3月期の年間での配当金は50円とし、前期に比べ4円の増配とさせていただきました。なお、当期の配当につきましては1株につき60円(中間配当金30円、期末配当金30円)とし増配する予定であります。今後も利益水準に応じた総合的な株主利益の還元に努めてまいります。 

 

株主・投資家の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

2023年3月
代表取締役社長 松田 芳明