松田産業株式会社は、「限りある地球資源を有効活用し、業を通じて社会に貢献する」を企業理念に掲げ、産業資源からの貴金属の回収、貴金属製品の製造・販売、産業廃棄物の適正処理、半導体製造装置の精密洗浄等のあらゆる事業活動において、顧客密着度を高め、お客様の求める製商品とサービスの開発、育成に努めていきます。
また、「人を豊かに、地球を美しく」したいという想いのもと、私たちのふるさとである地球の環境の保全が、人類共通の最重要課題の一つであることを認識し、事業活動のあらゆる面でその維持に配慮した活動を行っていきます。
松田産業株式会社は、基本理念に基づき、次の事項を方針として定め、品質・環境目標の枠組みとし、全員参加で目標の達成に努めていきます。
- 顧客満足第一と社会の信用確保
お客様の要求を迅速かつ的確に把握し、納期、価格、サービスともに満足が得られる品質を提供するとともに、製商品、サービスの正確な情報の提供に努めることを全ての社員が認識し、活動します。
- コンプライアンス重視
事業活動、製商品、サービスおよびそれらの環境側面に適用される法令、ならびに、顧客その他の利害関係者が求め、当社が同意するその他の要求事項を明確にするとともに、全ての社員が認識し、その順守を徹底します。
- 環境負荷の低減と事業成長の両立
事業活動、製商品、サービスに関して環境デューディリジェンスを行い、特定したリスクに対応するための管理基準を定め、全ての社員が活動することにより、汚染の予防を含む環境負荷の低減に努めます。
さらに、地球温暖化対策、循環型社会の構築 、生物多様性の保全など、当社を取りまく重要な環境課題に取り組み、持続可能な社会の実現に向け、企業価値の向上に努めます。
- 有害化学物質の適正管理
法令および顧客その他の利害関係者が制限する化学物質は、調達、使用および混入が無きよう適正に管理します。
人体および環境に影響を及ぼす化学物質の使用にあたっては、そのリスクを的確に把握し、取扱い、保管、移動および廃棄に関する管理基準を定め、適正に管理します。
- PDCA の貫徹
品質、環境に関する統合マネジメントシステムを構築、運用し、品質パフォーマンスと環境パフォーマンスの向上を図るとともに、定期的なマネジメントレビューによってその成果を確認し、統合マネジメントシステムの継続的改善に努めます。
この品質・環境方針は、その成果、当社をとりまく状況の変化、顧客その他の利害関係者のニーズの変化を考慮して見直しを行います。
本方針は、松田産業株式会社の貴金属関連事業(国内)に適用されるものです。
2025年4月1日
松田産業株式会社
取締役副社長 對馬 浩二
当社グループでは、「環境」における重要項目を以下のように決定し、今後の事業活動の中で環境負荷の低減に努めていきます。
①エネルギー消費および温室効果ガスの排出 ②大気への排出③有害物質 ④固形廃棄物 ⑤汚染防止と資源削減 ⑥水の管理⑦生物多様性
当社はリサイクル100%Auを原材料として製造した以下の製品を供給しています。
・シアン化金カリウム(製品名:ECO PGC 683)
・亜硫酸金ナトリウム(製品名:ECO Auro Assist 100)
・粒金(製品名:ECO EMG GOLD 100)
また、当社は第三者機関であるUL Japanによる認証※を他の国内メーカーに先駆けて取得しました。二酸化炭素排出量が少ないリサイクル100%貴金属を原材料として製造した製品「ECOシリーズ」の製品ラインナップを今後も拡大させ、資源循環を促進し、環境負荷の低減を通じてお客様の持続可能な取り組みに貢献していきます。
※ 米国UL LLC が定めた基準に基づき、「ECOシリーズ」の製品がリサイクル金100%で製造されていることを確認すること
シアン化金カリウム
(製品名:ECO PGC 683)
亜硫酸金ナトリウム
(製品名:ECO Auro Assist 100)
粒金
(製品名:ECO EMG GOLD 100)
現在、世界中で気候変動に伴う異常気象が激甚化しつつあり、自然および人間社会へ深刻な被害をもたらしています。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が主導する科学的調査では、温暖化による世界の平均気温の上昇幅を、産業革命(1850年頃)から1.5℃以下に抑えなければ、温暖化に歯止めがかからなくなる可能性が高いと指摘されています。
当社グループでは、持続可能な社会につながる気候変動への対応が企業としての使命であると捉えています。2023年12月には、SBT1.5℃目標※1の認証を取得しており、2030年、および2050年までの脱炭素目標を設定してカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいます。
また、TCFD※2の提言に沿い、気候変動のリスクと機会を事業活動にも反映すべく、まずは財務影響の定量化を進めています。
さらに、CDP※3 への積極的な情報開示を継続しており、2024年にはCDP Climate Change ProgramおよびCDP SEA(サプライヤー・エンゲージメント評価)において、いずれも最高評価である「A」を取得しました。
※1 科学的な根拠に基づいたGHG排出量削減目標
※2 気候関連のリスクと機会についての情報開示を促すために金融安定理事会が設置した気候変動に関する開示タスクフォース
※3 英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)であり、気候変動、水資源、森林保護の3分野について企業や自治体の環境分野における取り組みや情報開示の内容を評価します。
当社グループはTCFD提言に準拠して、気候変動関連の重要情報(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)を開示しています。
当社グループは、持続可能な環境・社会・経済の実現と当社グループの企業価値の向上の両立を目指すため、気候関連を含むサステナビリティ経営の推進における重要事項の決定および取り組みの円滑な推進を目的として、取締役会が直接監督するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は、取締役( 社外取締役を含む) および執行役員の中から取締役会が指名する委員で構成し、代表取締役社長が委員長を務めます。「全体方針の策定」「対処すべき重要事項の決定」「リスクと機会に関する評価」「目標の設定」「行動に関する計画」「行動の検証モニタリング」を役割として、原則4回/ 年度の定例委員会を開催し、その内容は取締役会ならびに監査等委員会に報告されます。取締役会は、国際イニシアティブによる提言や国内外の政策などを中心とした社会情勢の動向と、当社グループの事業成長との両立を踏まえて、サステナビリティ委員会が決定した重要事項等についてプロセスを含め確認し監督しています。
注:ガバナンス体制は、コーポレートガバナンス体制図をご覧ください。
当社グループは、2022年5月に公表した「中期経営計画(2022-2025年度)」において「環境負荷低減と事業成長の両立」を重要課題として掲げています。この重要課題を達成するためには、シナリオの分析が必要と捉え、気候変動がもたらすリスクと機会を整理しています。
気候シナリオ分析においては、低炭素・脱炭素社会への移行リスクが高まる1.5℃シナリオと、低炭素・脱炭素が達成されずに気候変動に伴う物理的リスクが高まる4℃シナリオの2つのシナリオを想定し、当社グループにとってのキードライバーの選定、リスクと機会の抽出・評価・特定を行いました。
本分析結果については、サステナビリティ委員会において評価の妥当性を確認し、共有しています。
(シナリオの参考情報)
• 国際エネルギー機関(IEA)「世界エネルギー展望」
• 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「1.5℃特別報告書」、「土地関係特別報告書」
• 環境省「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」
• 世界資源研究所(WRI)「Aqueduct Water Risk Atlas 3.0」
当社グループは、事業および企業経営に重大な影響を与えるリスクの顕在化を特定し、全社リスクとして管理することを目的として、取締役会が直接監督するTRM(トータルリスクマネジメント) 委員会を設置しています。TRM委員会は、潜在的なリスクの評価、全社リスクの一元的管理、対応の促進、管理状況のモニタリングなどを実施し、その内容は取締役会ならびに監査等委員会に報告されます。リスク評価の基準は、関連する法規制や国際基準などを参照し、気候変動関連リスクについては、IEA「世界エネルギー展望」・IPCC「1.5℃特別報告書」などを参照し、事業ごと、展開地域ごとに潜在リスクの発生確率と影響度を評価して優先的に対処すべき全社リスクを特定して事業リスクを総合的に評価し、優先順位の高いリスクへの対応方針を策定しています。気候変動関連リスクについては、2つのシナリオ(1.5℃シナリオ、4℃シナリオ) を想定し、当社グループにとってのキードライバーの選定、リスクと機会の抽出、評価を行い、サステナビリティ委員会において確認のうえ、リスクを特定し、事業および企業経営にとって重要と認識したリスクを管理する目的でTRM委員会に設置する専門部会において、対応等の促進および進捗のモニタリングを行っています。
当社グループは、2022年7月に当社グループを対象とする温室効果ガス排出量削減の目標を設定しています。
削減に向けた主な対策
• エネルギー使用効率の向上
• 再生可能エネルギーの導入拡大(再生可能エネルギー購入・自家発電・PPA)
• 製造および処理プロセスの見直し、改善(燃料転換・CO2回収含む)
• 高効率設備の導入、更新
• 物流効率化、モーダルシフト、営業車両のHV化
• 環境負荷低減製商品およびサービスの提供
• サプライチェーンとのエンゲージメントを通じた協働
|
2030年度(短期) |
2050年度(長期) |
|
|
Scope1+2 |
2020年度比 42%削減 |
カーボンニュートラル実現 |
|
Scope3 |
2020年度比 25%削減 |
2024年度の排出量実績は、株式会社サステナビリティ会計事務所の第三者保証を取得しています。
2025年10月1日現在
リスクと機会のインパクトは以下のとおりに定義しています。
100万円≦中程度<1,000百万円、1,000百万円≦大
|
シナリオ |
区分 |
キードライバー |
前提条件 |
当社グループにとっての インプリケーション |
インパクト |
|
|
1.5 ℃ |
政策・ 法規制 |
カーボンプライシング (炭素税、排出量取引制度など) |
・国や地域における炭素価格の上昇 |
ー食品関連事業ー ・調達コストの増加 |
リスク |
大 |
|
CO₂排出量規制の強化 (省エネ法の規制強化など) |
・電力へのエネルギー転換促進 ・エネルギー使用の合理化要求 |
ー全事業共通- ・設備投資の拡大 ・技術開発コストの増大 |
リスク |
大 |
||
|
農地開発規制の強化 FLAG セクター(森林、土地、農 業)の排出規制強化 |
・土地利用や転換による温室効果ガスの排出を抑制 するための新たな一次産業エリア開拓制限 ・国際貿易による林産物や農産物の最適配分と世界 全体の生産効率向上 ・食料品の輸出規制や禁輸 |
-食品関連事業- ・調達コストの増加 |
リスク |
大 |
||
|
政策・ 法規制 /技術 /市場 |
・サーキュラーエコノミー 実現に向けた政策の強化 ・低炭素技術の普及・進展 (リサイクル技術) ・脱炭素技術の需要増に伴う リサイクル金属需要の増加 |
・第4次循環型社会形成基本計画(日本政府)に基 づく廃棄物循環利用率の目標拡大 ・廃棄物循環利用率向上に向けた技術開発、投資の 進展 ・欧州を中心としたサーキュラーエコノミーの実現 に向けた政策強化によるリユース、リサイクル、 シェアリングによるクローズドループ形成 |
-貴金属関連事業- ・資源リサイクルの需要 拡大による売上増加に 伴う利益の増加 |
機会 |
大 |
|
|
技術 |
低炭素技術の普及・進展 (再生可能エネルギー) |
・再生可能エネルギー普及拡大による企業向けPPA (Power Purchase Agreement:電力購入契約) 市場の拡大 ・電力小売事業者による再生可能エネルギー電力メ ニューの選択肢増加 ・再生可能エネルギー発電コストの低下 ・技術進展および脱炭素社会への移行に伴う企業の 再生可能エネルギー調達ニーズ増加 ・政府および自治体による再生可能エネルギー導入 促進政策の強化 |
-貴金属関連事業- ・調達コストの減少 |
機会 |
中 |
|
|
低炭素技術の普及・進展 (輸送) |
・脱炭素社会への移行やBEV※1やPHEV※2などのEV (電気自動車)普及拡大を背景とした車載用リチウム イオンバッテリー需要とリサイクル需要の世界的増加 ・技術進歩によるFCV※31台あたりのPt使用量減少と、 車両台数増加による全体のPt需要拡大 |
-貴金属関連事業- ・リチウムイオンバッテリー のリサイクルの売上増加に 伴う利益の増加 ・BEV・PHEV・FCV関連の 貴金属関連事業の売上増加 に伴う利益の増加 |
機会 |
大 |
||
|
・EV・FCVの普及拡大による、内燃機関車(ICV※4・ HV※5・PHEV)の市場縮小 ・排ガス規制の強化・脱炭素政策の推進 |
-貴金属関連事業- ・排ガス浄化装置用触媒の 売上減少 |
リスク |
中 |
|||
|
市場 |
環境に配慮したライフスタイ ルの広がり |
・環境意識や健康志向の高まりによる植物由来たんぱく 質需要の世界的拡大 ・サステナビリティ重視の消費行動普及 ・政府および企業によるプラントベース食品の普及促進 |
-食品関連事業- ・植物性たんぱく質の売上 増加による利益の増加 |
機会 |
中 |
|
|
4 ℃ |
物理的変化 (急性) |
洪水等の異常気象の頻発化 |
・気候変動の進行による河川洪水の発生頻度や規模の 増加 ・国内外での洪水リスク増大 |
-全事業共通- ・洪水による建物・償却資 産・在庫資産の損失 ・営業停止による利益の損失 |
リスク |
大 |
|
物理的変化 (慢性) |
海面上昇 |
・気候変動の進行による海面上昇と高潮リスク増加 ・国内外沿岸部での高潮による浸水・被害リスク拡大 |
-全事業共通- ・高潮による建物・償却資 産・在庫資産の損失 ・営業停止による利益の損失 |
リスク |
大 |
|
|
・平均気温上昇 ・降雨パターンの変化 |
・気候変動の進行による平均気温の上昇と降雨パターン の変化 ・畜産物の生産性の低下 |
-全事業共通- ・卵・鶏肉の調達コスト増加 |
リスク |
大 |
||
※1 BEV(Battery Electric Vehicle):バッテリーの電力のみで走行する電気自動車
※2 PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle):外部電源から充電可能なバッテリーと、ガソリンエンジンの双方を動力源とする自動車
※3 FCV(Fuel Cell Vehicle):水素と酸素の化学反応による発電で走行する自動車
※4 ICV(Internal Combustion Vehicle):内燃機関のみで走行する自動車
※5 HV(Hybrid Vehicle):エンジンとモーターを組み合わせることで、燃料消費を抑えた自動車
注: 分析の結果、「小」と判断したインパクトについては、影響が軽微であるため、省略しています。
TCFDのリスクと機会のインパクトは、2025年6月に見直しを行っています。

