当社は、子会社を含む企業グループ全体のリスク管理を統括するため、取締役会が監督するTRM(トータルリスクマネジメント)委員会を設置しています。TRM委員会では、企業経営に重大な影響を与えるさまざまなリスクの顕在化の未然防止や、緊急事態が発生した場合の迅速かつ的確な対応のマネジメント、リスク管理体制の構築・運用・評価および教育・訓練などを行い、その結果は取締役会に報告されます。
TRM委員会は、組織ごとのリスクを統括するため「部門部会」と「分科会」を置いています。「部門部会」・「分科会」では、発生頻度・経済的損失影響度・検知度の各要素それぞれ5段階で定量化しその乗数をリスク度として識別した重要なリスクについて、対策と進捗などを管理しています。
また、TRM委員会では、組織横断的かつ重要性の高いリスクをマネジメントするために「専門部会」を設置し、リスクの認識と評価、対策化、モニタリング、是正および教育などを計画的に行っています。これらのリスク管理状況などは定期的にレビューを実施し、結果は取締役会および監査等委員会に報告されます。
TRM 委員会組織図

当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、2024年3月31日現在において判断した内容になります。
リスク |
主なリスク要素 |
内容 |
製商品の価格変動 |
• 為替 • 貴金属価格 • 商品市況 |
当社グループの貴金属関連事業が取り扱う製品の生産に用いられる主要原材料は、主に金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属元素を含有するリサイクル原材料であり、その仕入価格および販売価格は原則として貴金属地金の市場価格に基づいており、国際商品市況および為替相場の変動による影響を受けます。当社グループは、価格変動に伴う相場リスクを回避する目的で商品先渡取引を行っていますが、全量に対する回避は困難であるため、製造および在庫期間における貴金属価格の動向によっては、価格変動が業績に影響を与える可能性があります。当社グループの食品関連事業が取り扱う商品である水産品、畜産品、農産品等の食品加工原材料は、取扱品の大部分が外国産品であり、その価格は、仕入・販売いずれも商品市況、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループ は、先物為替予約を行い、販売価格への転嫁によりこれらの変動に対応していますが、商品の需給バランスなどにより販売価格が下落した場合は、棚卸資産の評価損などの損失が発生する可能性があり、業績に影響を与える可能性があります。 |
品質問題等 |
• 食品表示 • 異物混入 |
当社グループの食品関連事業では、仕入および販売にあたって法令に基づく食品表示の徹底はもとより、海外産地の品質管理指導や異物混入対策の強化などに万全を尽くしていますが、食品の安全性などに係る問題が発生し、輸入禁止措置などがとられた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
法的規制 |
• 廃掃法等の環境法令 |
当社グループの貴金属関連事業に関連する法的規制が強化された場合においては、それに対処するために追加の設備投資負担が必要になることがあります。また、当社および当社グループの一部は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)に基づく事業者として、産業廃棄物の収集運搬、処理等の事業を行っており、各種法令の遵守が事業継続の大前提となっています。当社グループでは、事業活動およびその他の社会的活動における最高位の社内基準として「松田産業グループ グローバル行動規範」を制定するとともに、コンプライアンスの実現のための取り扱いを定めた「コンプライアンス規程」を制定し、経営活動全般にわたるコンプライアンスの実現に取り組んでいます。 |
廃棄物等の管理 |
• 環境保全 • 安全性 |
当社グループの貴金属関連事業では、製造過程において毒物や劇物を使用しており、廃液や大気への排出物に対して環境に配慮した適切な処理を行っています。しかしながら、工場の事故などにより、これらの管理に何らかの問題が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
カントリーリスク |
• 政治経済 • 社会情勢 |
当社グループの貴金属関連事業ならびに食品関連事業は、海外のさまざまな国や地域において事業活動を行っており、これらの国や地域の政治経済・社会情勢などの環境変化に起因し予期せぬ事態が生じた場合には、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
自然災害・気候変動・ 感染症拡大等 |
• 地震、洪水など • 異常気象 • パンデミック |
当社グループの貴金属関連事業ならびに食品関連事業が事業活動を行う国や地域において地震、洪水などの自然災害が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。当社グループでは、大規模災害の発生に備え、安否確認システムの導入、防災訓練の実施および事業継続のための各種対策を講じていますが、被害を完全に回避できるものではなく、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。気候変動などによる異常気象が発生した場合には、当社グループの食品関連事業が取り扱う商品の生産などに影響する可能性があり、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。未知の感染症などが拡大した場合には、生産活動などの中断により事業に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、感染症などの大流行に備え在宅勤務などのテレワーク、時差出勤およびシフト勤務などにより従業員などの感染予防に努めるとともに、製商品および役務の供給体制整備を図っていますが、社内外での感染拡大に伴う調達や事業活動の停滞・停止により、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
情報セキュリティ |
• システム/通信等の障害 • サイバー攻撃 • 情報漏洩 |
当社グループが行う事業活動の多くは、コンピュータシステムおよび通信ネットワークを利用しており、コンピュータシステムおよび通信ネットワークに生じる障害や不具合・欠陥や、データセンターの機能停止などにより、事業活動に支障が出る可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客情報をはじめとする各種の個人情報がサイバー攻撃を含む不測の事態により遺漏が発生した場合は、社会的信頼の失墜や多額の費用負担が生じる可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |