※所属部署は取材時点のものです。
現在の仕事内容は?

社会人博士課程に所属し、最先端の研究に取り組む

当社では技術力をさらに高めるため、社会人博士の育成を進めています。その方針のもと、私にもお声がけをいただき、興味を持って挑戦することを決意して、現在は大学の社会人博士課程に所属しています。大学ではリチウムイオン電池のダイレクトリサイクルに関する研究に取り組んでいます。ダイレクトリサイクルとは、使用済みリチウムイオン電池から正極材を直接取り出して、新たな活物質として再生するリサイクル手法です。この手法は溶解工程がなく、酸を用いないため、従来の手法と比較して環境にやさしいのが特徴です。一方、実用化には多くの課題があり、それらを解決することを研究目的としています。まだ研究はスタートしたばかりで、社会人博士課程の3年間で成果を上げる予定です。
企業での研究は、実用性を重視し、実験結果から最適な条件を見つけ出すスタイルです。それに対して、大学での研究はより理論立てた研究の進め方をします。そうした研究の過程で得た知見を、当社に還元することが私のミッションです。

松田産業に入社した理由は?

安定性の高い事業基盤のもと、リサイクルの仕事ができる

荻田 浩介

大学時代は主に化学を学び、有機合成に関する先端的な研究に取り組んでいました。しかし、就職活動では広く化学の知識を活かせる実用的な分野を中心に探しており、中でもリサイクル分野に特に関心を持っていました。リサイクル事業を通じて、社会に貢献できればと考えたのです。その中でも当社には最初から魅力を感じていました。リサイクル事業を行っていて、かつ食品も扱っているのがユニークですし、また、自己資本比率が高く、事業が安定していることにも惹かれました。リサイクルは今後も確実に世の中に必要とされるものです。その意味でも自分が取り組みたいリサイクルの仕事ができると感じました。
入社前に当社の開発センターを訪問した際は、職場の雰囲気がよくわかり、親しみやすい印象を受けました。また、一通りの実験設備が整っており、ここであれば大学での研究で培ったノウハウ・スキルを活かすことができそうだと思いました。

現在の仕事のやりがいや魅力は?

理論の深さが求められる研究を通して、新たな知見が得られること

社会人博士課程での研究は、理論の深さが求められます。当社の生産部門の方々と綿密に連携しながら、技術開発を進めている時は、技術的な裏付け以上に結果を重視していましたが、今はそこをしっかり言語化して自身の言葉で説明できなければなりません。そのために重要なのは、あらゆる資料や文献にあたっていくことです。特に面白いのは、そこで思わぬ発見に出会えることです。例えば「この現象とは何か?」と思っていろいろ調べようとしても、その現象のことだけを説明している文献はほとんど見つかりません。これは、博士課程で研究するテーマはより専門的であり、体系的にまとめられた資料があまりないからです。そんな時、より広く他の研究事例を見ていくと意外なところで解を見出せることがあります。
また、大学の指導教授とのディスカッションを通して、新たな知見が得られるのも大きなやりがいです。もちろん、当社の技術開発でも自社内でレビューを受けますが、それとは全く違う角度からの気づきやヒント、アドバイスをもらうことができ、大いに刺激を受けています。

ここでどんな成長をしましたか?

任せてもらえる環境の中、
技術開発を全うする力を養う

入社5年目まで、リチウムイオン電池(LIB)リサイクル技術開発、新規製錬プロセス技術開発、不純物除去プロセス技術開発など、様々なテーマに取り組み、その中で開発したものを生産部門へ工程移管するまでの技術開発を一通り学びました。
そうした自身の成長の後押しになったのは、当社の若手に任せてもらえる仕事環境です。守るべき期日はありますが、どのように開発していくかは基本的に自分で決めてよく、開発に必要であれば薬品やツールも新しく購入できます。また、わからないことは気軽に上司や先輩に相談できる環境もあります。このような恵まれた環境のもと、のびのびと力をつけていくことができました。
また、既存工程に関わる技術開発では、現場の人たちとの綿密なコミュニケーションが必須です。その過程で現場の方々の協力を得ながらスケールアップの試験を進めていくスキルや対応力を身につけることができました。

荻田 浩介
荻田 浩介
これまでで一番誇れる仕事や出来事は?

自身が開発した工程の設備設計に関われたこと

リチウムイオン電池リサイクル技術開発において、生産現場に自身が開発した工程の設備導入を行う仕事に取り組んだことが、印象に残っています。この時、私にとって壁になったのは装置設計です。私の専門領域は化学であるため、まったく未知の領域だったのです。そこで装置設計に詳しい他部署の方々と連携しながら仕様書や設計図を決めていき、また外部のメーカーの方々にも協力していただきました。
それまでどちらかと言えば、自分の力で進めることが多かった私にとって、他部署の方々や外部の方々と一緒に、そうした工程をつくり上げたというのは新鮮で面白い経験であり、自身の成長にもつながりました。

今後の目標は?

管理職として技術開発をマネジメントし、
いろんなテーマを動かしたい

直近のビジョンは、社会人博士課程の3年間で、リチウムイオン電池リサイクルに関する研究の成果を出すことです。その後は、博士課程のアカデミックな研究を知る技術者として、当社の技術開発に新たな視点や手法を持ち込むなど、自分なりに考えた上で、当社に資する知見を還元できればと思っています。
リサイクル市場はこれからますます拡大していく市場であり、それに伴い、どんどん技術革新も起きています。そのため技術者として情報アンテナを高くすることも重要だと思っています。今、私が気になるのはやはり、リチウムイオン電池などの二次電池市場です。「新しい電池が出てくればさらに高性能化し、リサイクルしづらいものになる可能性があるな」などといつも考えを巡らせています。
また、将来的に携わりたいのは、管理職として技術開発をマネジメントすることです。管理職として、いろんなテーマを動かしていくことができるのは魅力的だと思いますし、そこでは最前線で研究を続けてきた経験が必ず活きるとも思っています。

荻田 浩介